今月の表紙 細胞診:感染と細胞所見・7
Pneumocystis jirovecii(ニューモシスチス・ジロヴェッチ)/Pneumocystis carinii(ニューモシスチス・カリニ)
籏 ひろみ
1
,
海野 みちる
2
,
坂本 穆彦
2
Hiromi HATA
1
,
Michiru UMINO
2
,
Atsuhiko SAKAMOTO
2
1杏林大学病院病院病理部
2杏林大学医学部病理学教室
pp.710-712
発行日 2006年7月15日
Published Date 2006/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100676
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真菌に近い微生物Pneumocystis carinii(P. carinii)は2001年の国際会議において真菌と分類されること,名称もラット由来(原型)をPneumocystis cariniiとして残し,ヒト由来のものはPneumocystis jiroveciiと改めることが提唱された1).なおjiroveciiはチェコの寄生虫学者にちなんで命名された.本稿では旧名のP. cariniiではなくPneumocystis jirovecii(P. jirovecii)を用いる.
間質性肺炎を起こす主な病原体として知られているP. jiroveciiは,正常では不顕性であるが,免疫不全状態に宿主が陥ると増殖,活性化して致命率の高いびまん性間質肺炎を発症させる典型的な日和見病原体として有名である2,3).免疫不全状態の原因としては,自己免疫疾患,臓器移植時の免疫抑制剤の大量投与,癌,白血病,悪性リンパ腫などの種々の悪性腫瘍に対する抗癌剤,抗生剤,免疫抑制剤の大量投与,後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者,などが挙げられる.特にAIDSでは,患者の半数以上がP. jiroveciiを併発しているといわれている4).
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