今月の主題 脂質
技術
HDLコレステロール,LDLコレステロールの測定技術に関する最近の進歩
杉内 博幸
1
,
松嶋 和美
1
,
安東 由喜雄
2
Hiroyuki SUGIUCHI
1
,
Kazumi MATSUSHIMA
1
,
Yukio ANDO
2
1熊本保健科学大学衛生技術学科
2熊本大学大学院医学薬学研究部病態情報解析学分野
キーワード:
HDLコレステロール(HDL-C)
,
LDLコレステロール(LDL-C)
,
沈殿法
,
ホモジニアス法
Keyword:
HDLコレステロール(HDL-C)
,
LDLコレステロール(LDL-C)
,
沈殿法
,
ホモジニアス法
pp.533-539
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101204
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1.はじめに
高脂血症と動脈硬化との因果関係に関する研究は,1977年,Gordonらが米国のボストン郊外の地域住民5,000人以上を対象に実施した長期疫学追跡調査“Framingham Heart Study”が最初である1).その後,多くの疫学調査が実施され,それらの結果から高密度リポ蛋白コレステロール(HDL-C)は動脈硬化のアンチリスクファクターとして,低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)はリスクファクターとして注目されるようになり,その測定は動脈硬化の予防,診断や治療には不可欠な検査となっている.わが国では動脈硬化の原因となるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の急増に伴い,2008年4月から40歳以上の健診の義務化が実施され,トリグリセライド(TG),HDL-C,LDL-Cの測定が基本健診項目に指定される.このため,今後,ますますHDL-C,LDL-Cの測定精度の向上が必要不可欠なものとなり,精度管理の徹底や標準化の進展が要求されている.最近,筆者らは自動分析装置で測定できるHDL-C,LDL-Cホモジニアス法を開発した2,3).その後,原理の異なるホモジニアス法が次々と開発され,これらは世界中に普及している.
本稿では,ホモジニアス法の測定原理を中心として,従来法との比較や測定法の評価など,最近の話題を交えて概説する.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.