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1.はじめに
ラテックス粒子を最初に免疫学的測定法に応用したのは,Singerら1)である.Singerらはヒト免疫グロブリンリGを結合させたラテックス粒子を用いてリウマチ因子を定性検査できることを報告した.ラテックス粒子表面で抗原抗体が起きることによりラテックス粒子の凝集が生じることを発見したものであり,このラテックス粒子の凝集を肉眼的に捉える方法であった.その後,ラテックス粒子の凝集を光学的に捉える方法がいくつか報告2~4)されたが,実用化には至らなかった.これは,抗原の精製技術による使用抗体の特異性の問題やラテックス粒子合成技術による均一性の問題などが考えられる.
Cambiasoら5)はparticle counting immunoassayという方法を1977年に報告し,同時にその測定装置も開発している.Cambiasoらの方法は実用化の第一号と言えるかもしれない.1970年代後半から1980年代になると,近赤外線を用いたLPIA法(latex photometric immunoassay)が沢井6)により開発され,現在,専用装置・専用試薬のLPIAシステムとして一般的に検査ルーチン法として使用されている.また,白色光を用いた方法が開発され,専用装置・専用試薬のLAシステムとして検査ルーチン法として使用されている.最近では,一般生化学用自動分析装置でも測定できるようなラテックス試薬が開発され,現在では検体数の多いC-反応性蛋白(CRP)などの検査項目では専用装置・専用試薬に代わり,他の多くの検査項目の同時測定も可能で処理能力の高い一般生化学用自動分析装置での測定が主流になってきている.
このような一般生化学用自動分析装置での測定が可能になったのは,ラテックス試薬の精度,感度などが大きく向上したことによる.また,一般生化学用自動分析装置自体の種々の精度が向上したばかりでなく,多点検量機能など免疫学的測定法に特有の現象に対応できる機能を装備したことによると考えられる.
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