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近年,臨床検査の分野において,抗原抗体反応を利用した微量成分の定量が,ますます重要性を増してきている.従来これらに対する検出方法として,RIAが高い検出感度のために多く用いられてきた.しかしながら,ラジオアイソトープを使用することから種々の制約があり,これに代わりうる非放射性免疫測定法の研究開発が活発に行われ,EIAは既に日常検査に利用されている.しかし,EIAも操作が煩雑で,反応に長時間を要する,などの問題を残している.一方,ラテックス粒子に抗体または抗原を結合させ,対応する抗原または抗体による凝集反応を利用したラテックススライド凝集反応あるいは凝集阻止反応が,リウマチ因子(RF),ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG),エストリオール(E3)などの検出に広く利用されている.しかしこれらの方法は迅速,簡便ではあるが,定性分析の域を脱しえない.
最近,このラテックス凝集反応を近赤外光により光学的に測定する高感度定量法(LPIAシステム:latex photometric immunoassay system)がわれわれのグループによって世界に先駆けて開発された1).LPIAシステムはラテックス凝集反応が持っている迅速,簡便性を失うことなく,従来のラテックス凝集反応にみられた偽陽性を除去し,RIA,EIAに匹敵する高感度,高精度を実現し,また免疫血清検査の自動化を可能としたシステムである.その後,類似のシステムとして可視光を用いたLAシステム(latex agglutination photometric assay)が開発され,さらに生化学自動分析機への適用が検討されるなど,ラテックス凝集反応の光学測定が注目されている.
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