特集 動脈硬化-その成り立ちと臨床検査
3章 より繊細な診療を求めて―これからの冠疾患危険因子
2. Lp(a)
一瀬 白帝
1
Akitada ICHINOSE
1
1山形大学医学部器官病態統御学講座血液・循環分子病態学分野
キーワード:
クリングル
,
プラスミノゲン
,
抗線溶作用
,
易血栓性
,
易動脈硬化性
Keyword:
クリングル
,
プラスミノゲン
,
抗線溶作用
,
易血栓性
,
易動脈硬化性
pp.1263-1270
発行日 2004年10月30日
Published Date 2004/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100591
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Lp(a)とアポ(a)
脂肪は単独では血液に溶けないので,脂質粒子はアポリポプロテインに周囲を包まれて血中に存在する.したがって,高脂血症と高リポプロテイン血症は,ほぼ同じ意味である.「悪玉脂肪」である低密度リポプロテイン(LDL)では,親水性のアポリポプロテインB-100が疎水性である脂質粒子の外側を覆っている.リポプロテイン(a)[Lp(a)]は,さらにLDLのアポB-100と高分子糖蛋白質アポリポプロテイン(a)[アポ(a)]がジスルフィド(S-S)結合した脂質粒子である(図1).血中Lp(a)濃度は優性遺伝し,一般人の1/4~1/3では高値で,独立した動脈硬化/血栓症の危険因子であることから,近年特に注目されている.
アポ(a)はヒトや旧大陸の霊長類(とヨーロッパハリネズミ)のみに存在することや,Lp(a)の血中濃度に個人間のみならず人種間でもかなりばらつきがみられることが特徴である(黒人が白人,黄色人種に比べて高い).
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.