今月の表紙 臨床生理検査・画像検査・6
肝臓疾患
尾本 きよか
1
Kiyoka OMOTO
1
1自治医科大学臨床検査医学
pp.608-610
発行日 2004年6月15日
Published Date 2004/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100525
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腹部領域における超音波検査は科を問わず,今や最も頻繁に行われている画像検査の1つである.超音波検査はリアルタイムに,低侵襲的に,簡便に施行でき,その用途は検診などのスクリーニング検査,診断・精査,穿刺のガイドや治療後の評価判定など広範にわたる.今回は,腹部領域のなかでも最も有用な肝臓疾患について特徴的な超音波写真を提示しながら説明していく.
肝臓の腫瘤性病変を良性と悪性に大別すると,良性腫瘍は上皮性の肝細胞腺腫,非上皮性は血管腫,血管筋脂肪腫,その他には囊胞,過誤腫,限局性結節性過形成などが含まれる.日常臨床で圧倒的に遭遇する機会の多いものは,肝囊胞と肝血管腫である.肝囊胞に関しては,他領域の囊胞と同様にその特徴的所見から容易に診断できるので,説明は割愛する.良性の充実性腫瘤で最も多い肝血管腫は,その大部分は病理組織学的には海綿状血管腫である.その超音波像の特徴は大きさによって多少様相が異なってくる.一般に血管腫が小さい場合には,図1のように境界明瞭,内部エコーは比較的均一,辺縁は細かい凹凸を認め,高エコー像を呈する.サイズが大きくなると,内部に低エコーな部分が混在する不均一な像を呈するようになる.その辺縁は,肝細胞癌などでみられる低エコー帯(halo)とは逆に高エコー(marginal strong echo)であることが特徴である.また体位変換や経時的観察で内部エコーが変化することがあり,他の充実性腫瘤との鑑別に役立つ所見といえよう.カラードプラ法では,辺縁に血流シグナルを認めることはあるが,内部に認めることは少ない.
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