今月の表紙 臨床生理検査・画像検査・5
甲状腺疾患
尾本 きよか
1
Kiyoka OMOTO
1
1自治医科大学臨床検査医学
pp.496-497
発行日 2004年5月15日
Published Date 2004/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100508
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甲状腺疾患の診断のために触診,血液検査に加え,今や超音波検査は欠かすことはできない.触診で甲状腺の大きさを「七条の分類」を用いて評価することもあるが,必ずしも客観的な方法とはいえない.超音波を使えば大きさに関しても容易に,正確に測定することが可能であり,例えば,峡部の厚さが3mm以上あれば肥厚と判定できる.甲状腺に対して行う画像検査には,超音波以外にCT検査,MRI検査,シンチグラフィなどがあるが,いずれも高額な装置で,放射線被曝の問題があったり,検査に時間や手間がかかるため,ファーストチョイスは超音波検査といえよう.低侵襲的で簡便であるうえに,高解像度の表在用探触子の開発によりその診断能は確実に向上している.さらには,超音波ガイド下に病変を狙った穿刺吸引細胞診を行うことにより,確定診断が可能であり甲状腺の画像診断において最も有用な検査といえる.使用する超音波の探触子は7.5~13MHzの高周波が用いられ,メカニカルセクタ,アニュラアレーや血流情報も得られる電子リニア型などがよく用いられている.甲状腺がびまん性に腫大する疾患の代表として,バセドウ病,橋本病(慢性甲状腺炎)などがあり,一方結節性(腫瘤)病変では良性の濾胞腺腫,悪性の乳頭癌,濾胞癌,髄様癌,未分化癌,悪性リンパ腫などがある.ここでは日常臨床で遭遇することの多いバセドウ病(図1),慢性甲状腺炎(図2),乳頭癌(図3),濾胞腺腫(図4)について超音波写真を提示し説明していく.
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