今月の表紙 臨床生理検査・画像検査・4
乳腺疾患
尾本 きよか
1
Kiyoka OMOTO
1
1自治医科大学臨床検査医学
pp.358-359
発行日 2004年4月15日
Published Date 2004/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100487
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乳房は皮下脂肪組織のなかに存在する臓器である.乳頭を中心として円錐に近い形の乳腺が皮下脂肪組織に取り囲まれて,表皮と胸筋の間に存在している.乳腺を支持する結合織は皮膚とも連続し,これをクーパー靭帯といいこれにより乳腺は吊り上げられた構造になっている.乳房の画像検査には,マンモグラフィ,超音波検査,CT検査,MRI検査などがある.マンモグラフィは乳房を挟み込んで撮影するだけの簡単な検査で,特に集団検診などのスクリーニング検査として汎用されている.一方,超音波は簡便かつ非侵襲的な検査で,スクリーニングのみならず精査としても利用されている.表在用超音波プローブは近年技術の向上により,その解像度はかなり上昇しており詳細な形状把握や性状組織診断が可能になってきている.さらには超音波ガイド下の穿刺吸引細胞診も外来で容易に施行でき,確定診断におおいに寄与している有用な検査である.
ところで,超音波で乳腺実質は一般に均一な高エコー域として観察されるが,年齢によってその所見が異なってくる.成熟女性になると,乳腺症の変化として囊胞,線維化,硬化性腺症などを生じてくるため乳腺組織の存在する領域にびまん性の小斑状低エコー像いわゆる“豹紋状mottled pattern”を呈することが多い.
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