特集 超音波検査の技術と臨床
コラム
医療廃棄物について
尾本 きよか
1
Kiyoka OMOTO
1
1自治医科大学臨床検査医学
pp.1489-1490
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904964
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2000年1月,栃木県の産業廃棄物処理業者が,医療廃棄物が混入している大量のゴミをフィリピンに違法輸出した事件は大きく報道された.医療機関のずさんな管理体制が浮き彫りにされたこの事件は記憶に新しいところである.
一言で医療廃棄物といっても,近年その種類は多様化しその定義や取り扱い,処分方法に関しても大きな変遷があり,われわれ医療従事者はそのことに関して熟知していなければならない.まず1989年(平成元年)に,「医療廃棄物処理ガイドライン」が公布され,それまで医療廃棄物は一般廃棄物として扱われていたが,それ以降産業廃棄物として扱われるようになった.1991年(平成3年)には「廃棄物処理法」(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)が全面改正され,血液の付着した注射針やガーゼなどの感染するおそれのあるものについては,特別管理廃棄物である感染性廃棄物に指定された.それに伴い1992年に「感染性廃棄物処理マニュアル」が公示された.その後しばらく大きな変化はなかったが,先の事件が契機となり2001年(平成13年)4月には「改正廃棄物処理法」が施行された.それにより産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度の見直しや排出業者に対する罰則規定が盛り込まれ,医療廃棄物の排出者である医療機関は,いっそうその責任を問われることになった.
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