Japanese
English
外科的立場からみた内分泌疾患の治療
乳腺疾患
Milchdrüsenerkrankungen
桑原 悟
1
Satoru KUWABARA
1
1鳥取大学医学部第二外科教室
pp.798-799
発行日 1969年6月20日
Published Date 1969/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204869
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- Abstract 文献概要
乳癌が乳腺疾患では最大の関心事であるが,それを理解するためには,まず解剖学的事項から研究をすすめることが重要である.たとえば一般に人の乳腺腫瘍は外上四分円に圧倒的に多い,その理由はどうであろうか?いろいろ分類法があるがここでは,一般の四分法にしたがって話しをすすめる.外上四分円では乳腺組織が他の3ッの四分円より多いという考えがある.また誘導が十分でなく,うつ滞がおこり易い状態にあるとされる.さらに人は立つているから(サルや犬とは異なつて)乳房が下垂するので,微小血液循環が障害されやすいという研究もある.乳腺組織の迷入が外上四分円に多いが,それが理由だという人もある、さらに,性ホルモン感受性が,この部分がつよいという考えもある(久留).吾々は,このように,非常に高頻度において乳腺腫瘍が外上四分円に見られること(1399例中41〜42%)から組織学的,組織化学的に,四分円差異を調べた.つぎのような結果となった(小山).弾力線維は小葉間及び小葉内で,膠原線維は後者で増加していた.しかし格子線維や上皮細胞系統には部位別差はなかった.毛細血管内皮細胞核は小さかった.腺胞上皮細胞核の性クロマチンは多かった.アルカリフォスファターゼの軽度上昇がみられた.神経線維や肥胖細胞に差はなかつた.
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