コーヒーブレイク
医のこころの書
屋形 稔
1
1新潟大学
pp.170
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100436
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最近発刊された「死ぬときは苦しくない」(講談社)という書は,まことに読みごたえのある一冊であった.著者の永井友二郎氏は現在88歳でお元気に三鷹市で実地医家として診療に従事されている方である.千葉医大を卒後海軍軍人として太平洋戦争に出征,九死に一生を得て帰還後一貫して患者中心の医家として過ごされ,永い診療体験から人間の死について考究された人生観を書いている.
日本臨床内科医会は実地医家を全国組織として支えている会で,私の永年の畏友で臨床検査に造詣の深い菅原真氏(秋田市開業医)が副会長をしている.永井さんは最近本医会の学術記念学会で「医療の本道を目指して」という教育講演も行い絶讃を博しておられる.これらから窺える姿勢は,医療の基本は病人の住むその地域において医師が患者とゆっくり言葉を交わし,その病人の人間を理解することにある.病人が何に困り,医師に何をして欲しいと思い,何をして欲しくないと思うか,医師がこれをよく理解することが医療の原点である趣旨を述べている.
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