特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩
2章 臨床検査の診断的有用性の評価法とEBLM
6. システマティックレビューの方法
三宅 一徳
1
Kazunori MIYAKE
1
1順天堂大学医学部臨床病理学
キーワード:
システマティックレビュー
,
文献検索
,
批判的吟味
,
メタ分析
Keyword:
システマティックレビュー
,
文献検索
,
批判的吟味
,
メタ分析
pp.1369-1374
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100313
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はじめに
システマティックレビュー(systematic review,以下SR)は現存する妥当な臨床研究のデータをすべて系統的(システマティック,systematic)に収集し,その内容を吟味し,適切な研究データの成績を統合することで,1つの結論を得る手法である.適切に実施されたSRの結論は複数の研究の統合によってサンプル数が増加するため,単独の臨床研究より信頼性の高いエビデンスとなりうる1).
SRの概念は1994年以降急速に普及し,コクラン共同計画2)がその中心となって数多くのSRが行われてきた.既存の臨床研究のSRには限界や問題点も指摘されている3)が,その基礎はいわゆるEBM(Evidence Based Medicine)4)と表裏一体であり,信頼性の高い疫学データを見いだし,効果的・効率的に利用しようというコンセプトは共通したものと言える.
SRの進め方を図1に示した.この手順はいわゆるEBMのステップと類似する.しかし,日常診療の場で臨床研究データを活用しようというEBMに比べ,エビデンスの確立と公開を前提とするSRでは,より系統的(systematic)で,明確(explicit),かつ再現性が高い(reproducible)手順が求められ,最後にデータの統合というプロセスが加わる.
以下ではステップごとにその実際と注意点を述べる.
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