特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩
3章 臨床検査情報の収集と管理法
1. 臨床検査情報システムのためのデータベース構築法
片岡 浩巳
1
Hiromi KATAOKA
1
1高知大学医学部附属病院検査部
キーワード:
データベース
,
関係データベース
,
正規化理論
Keyword:
データベース
,
関係データベース
,
正規化理論
pp.1377-1382
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100314
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はじめに
データベースは交通機関の予約システムやクレジットカードによる支払いシステムなどのように生活のあらゆる場面で利用されている.臨床検査領域でも自動分析装置をはじめ病院情報システムなどで利用され,必要不可欠な基幹システムとなっている.一般ユーザからみたデータベースは,システムのアプリケーションに組み込まれた特定の機能しか利用することができないが,その舞台裏では様々なデータベースの解析が行われ意思決定などの情報源として利用されている.例えば,コンビニエンスストアなどでは,全国のチェーン店の売り上げデータを収集し,大規模なデータベースを構築している.このデータベースを解析することにより,人気商品は何か,地域性は何か,季節性など,それぞれの関連性について集計処理し,経営の効率化や顧客のニーズを的確に捉えている.臨床検査情報システムでも同じようにデータベースの解析を行って臨床にエビデンスを積極的に提示すべきであるが,データベースが持つ多角的な検索機能を利用している施設は皆無に近い.これは業務用データベースが多角的な検索に耐える設計が行われていないことに加え,危険防止のためにユーザのアクセス権限を制限している実情のためである.もう1つの問題は,データベースへの問い合わせ言語に精通した技術者が職員に存在しないことも大きな要因と考えられる.
本稿では,このような背景からデータベースの基本的な仕組みの理解を目標に,臨床検査情報システムの検査結果を焦点にしたデータベースの設計法について解説する.
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