特集 臨床検査のための情報処理技術の進歩
4章 臨床検査情報の収集とデータマイニング
3. データマイニングの事例
1)検査過誤の防止―デルタチェックと自動再検のアルゴリズム
山田 輝雄
1
,
加野 象次郎
1
Teruo YAMADA
1
,
Shojiro KANO
1
1東京逓信病院臨床検査科
キーワード:
単項目デルタチェック
,
多変量デルタチェック
,
累積デルタチェック
,
分散共分散行列
,
マハラノビス汎距離
Keyword:
単項目デルタチェック
,
多変量デルタチェック
,
累積デルタチェック
,
分散共分散行列
,
マハラノビス汎距離
pp.1453-1457
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100326
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はじめに
検体取り違いに起因する検査過誤の検出は,Nosanchukら1)に端を発する単項目デルタチェック(Delta Check;DC)とIizukaら2),Furutaniら3)によって提唱された多変量デルタチェック(Multivariate Delta Check:MVDC)の2つの流れがある.
DC法は,患者データの今回値と前回値の変化量(デルタ)から検査過誤を検出するという考え方に基づいている.それに対し,多変量判別分析を応用したMVDC法は,理論的には優れていると言われるが,1980年代当時のコンピューター能力では負荷が大き過ぎるという指摘から,松岡ら4)はMVDC法を簡便化した累積デルタチェック(Cumulative Delta Check;CDC)を提案した.しかし,DC法が,よりシンプルで手軽に利用できることから,現在このDC方法が広く支持されているようである.
臨床検査領域で日常取り扱うデータは,互いに関係を持ちながら多次元的母集団を構成している.このような多変量データが折りなす多面的空間から目的情報を精度良く,効果的に引き出すためには一変量解析を繰り返すより,多変量解析が有用なことは自明であろう.本稿では,データマイニング手法の1事例として多変量デルタチェックを取り上げ概説する.
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