今月の主題 マイクロアレイ技術の進歩
話題
3Dマイクロアレイ
長岡 智紀
1,2
,
坂本 宙子
1
,
佐藤 卓朋
1
Tomonori NAGAOKA
1,2
,
Hiroko SAKAMOTO
1
,
Takatomo SATOH
1
1オリンパス株式会社バイオメディカル開発部
2浜松医科大学医学部臨床検査医学講座
キーワード:
マイクロアレイ
,
遺伝子点突然変異解析
,
遺伝子発現解析
Keyword:
マイクロアレイ
,
遺伝子点突然変異解析
,
遺伝子発現解析
pp.557-561
発行日 2005年5月15日
Published Date 2005/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100215
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I. はじめに
1980年代後半に,Southernにより,ガラス基板等の不透過性基板上に多数のオリゴヌクレオチドを固相するアレイが考案されてから15年以上が経過した1).1990年代初頭には,アフィメトリックス社によって,フォトリソグラフィー法を用いて製造された高密度DNAチップが登場し,スタンフォードタイプの高密度DNAマイクロアレイとともに,現在,様々な研究分野で用いられている2,3).ガラス基板を用いたマイクロアレイは,年々,品質が高められ,登場初期に比べて安定した結果が得られている.一方,実際の臨床検査の場面では,再現性や特異性,定量性のほかに,迅速性,簡便性に優れた性能が求められるであろう.
われわれは,フロースルー型多孔質フィルターを基板に採用することで,オリゴDNAプローブを3次元的に固相化することが可能な3D(3-dimensional)マイクロアレイ(PamChip(R) Microarray,以後PamChipと略す)と,これを用いる専用のハイブリダイゼーション反応部と検出部を一体化したマイクロアレイシステム(FD10)を開発し,迅速性,簡便性を備えた,将来的な臨床検査への応用を目指したプラットフォーム技術として,本誌47巻13号にて紹介した4).今回は,このマイクロアレイシステムの再現性や特異性,定量性を示す具体的な事例や,シグナル検出感度や測定レンジを飛躍的に高めるための応用技術について紹介し,臨床の現場において,今後さらに求められるであろう微量サンプルへの適用の可能性について言及したい.
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