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糖尿病患者の尿が甘いことは古代インドでも既に認められていたが,その甘さが尿中のブドウ糖によるものであることは,1815年にミシェル・シュブルールによって解明された.そして尿糖検出法を最初に開発したのが,1902年に糖類およびプリン誘導体の合成に関する業績でノーベル化学賞を受賞したエミール・フィッシャーであった.その後,次々と尿中・血中の生体物質の検査法が開発され,現在の臨床化学検査に至っている.また1905年に結核の研究でノーベル医学・生理学賞を受賞したロベルト・コッホは,現在の臨床微生物検査の基礎を築き,1924年に心電図法の測定原理の発見でノーベル医学・生理学賞を受賞したウィレム・アイントーフェンは,現在の生理機能検査の基礎を築いた.このように20世紀初頭に医学に新しく登場した臨床検査は,初期は『医師』が診療の合間に診察室や研究室で検査を実施していたが,急速に発展・増大したため,病院のすべての検査をまとめて行う中央検査部が創設された.米国では1912年にコロラド大学附属病院に,日本では1950年に国立東京第一病院に作られた.そして,当初は『薬剤師』などが医師に代わって検査業務を担当したが,それに合わせて衛生検査技師法が制定された.しかし,臨床検査を専門に行う技術者の養成が強く望まれるようになり,1970年には臨床検査技師制度が新たに設けられ,『臨床検査技師』が検査業務を担当するようになった.しかし,欧米の臨床検査技師教育が早くから大学・大学院教育であったのに対して,国立の臨床検査技師教育施設は,3年制の医療技術短期大学部として整備された.このことが,日本の臨床検査学の研究の発展を妨げ,欧米に大きく水を開けられる結果となってしまった.
幸い,2003年に国立のすべての臨床検査技師教育施設が大学へと移行した.これからは大学・大学院教育を受けた若い臨床検査技師を研究者としてしっかり育てる必要がある.それができれば,臨床検査の分野でも日本が世界をリードできるだろう.そのためには,臨床検査技師の卒前・卒後教育の体制をしっかりと整理していく必要がある.
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