オピニオン【投稿】
高度先進医療への規制強化
井出 博生
1
,
康永 秀生
1
,
今村 知明
1
1東京大学医学部附属病院
pp.339
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100530
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小泉政権当時,混合診療解禁問題が国民的議論を巻き起こし,平成16年末の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣の「いわゆる『混合診療』問題に係る基本的合意」(基本的合意)により,「先進医療」が創設された.これまで「高度先進医療」は,特定承認保険医療機関だけに認められてきた.これに対し,先進医療は医療技術の範囲を「必ずしも高度でない医療技術」に拡げ,実施医療機関も拡大して認める制度であり,平成17年7月に導入された.先進医療の主旨は,新しい医療技術の導入規制を緩和し,これらへの国民のアクセスを改善することである.
ところが,平成18年10月1日に高度先進医療が先進医療に統合されると,薬事法未承認の医薬品や医療機器を用いているという理由で,従来の高度先進医療のうち18種類が,承認を取り消されることとなった.すぐに中止はされないものの,①薬事法上の承認申請,②その承認に向けての治験,③一定の基準を満たす「臨床的な使用確認試験」のいずれかを平成20年3月末までに実施しなければならず,これが行われない技術は先進医療としての承認が取り消される.この措置に対して各団体から意見が出されており,今後「一定の基準」により18技術が救済される可能性もあるが,現在までのところ覆ってはいない.
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