特集 増える超高齢者への医療
超高齢者のケアのコツ
⑦神経疾患―特発性正常圧水頭症の手術
石川 正恒
1
1北野病院脳神経外科
キーワード:
歩行障害
,
認知障害
,
尿失禁
,
水頭症
,
髄液循環
Keyword:
歩行障害
,
認知障害
,
尿失禁
,
水頭症
,
髄液循環
pp.130-134
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100231
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
わが国は急速に超高齢化社会に向かっており,高齢者の介護は重要な社会的テーマとなっている.特発性正常圧水頭症(以下,iNPH)は歩行障害,認知障害,尿失禁といった高齢者に多い症状を有し,類似疾患との鑑別が容易でないことから,あまり注目されてこなかった.しかし,診断法の進歩や治療機器の進歩によって,確実な診断と適切な治療が可能となり,高齢者の生活向上および介護の軽減が得られる.本稿では,2004年に公表されたガイドライン1)をもとに概説する.
概念と診断基準
iNPHは,くも膜下出血,髄膜炎などの先行疾患がなく,歩行障害を主体として認知障害,尿失禁をきたし,髄液循環障害に起因する脳室拡大を伴う病態である.中高齢者に多くみられ,症状はゆっくり進行する.適切な髄液シャント術によって症状改善の可能性がある症候群である.ガイドラインでは,三段階の診断レベルを設けて術前診断をより確度の高いものにするように努めている(表1).
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.