今月の主題 検査室におけるインシデント・アクシデント
各論
病理検査の危機管理:Learn from the Errors
小林 忠男
1
,
西野 俊博
1
,
植田 正己
1
,
津田 幸子
1
,
馬場 正道
1
Tadao KOBAYASHI
1
,
Toshihiro NISHINO
1
,
Masami UEDA
1
,
Sachiko TSUDA
1
,
Masamichi BAMBA
1
1恩賜財団済生会滋賀県病院病理科
キーワード:
病理検査
,
危機管理
,
リスクマネージメント
,
検体取り違え
,
細胞診
,
精度管理
Keyword:
病理検査
,
危機管理
,
リスクマネージメント
,
検体取り違え
,
細胞診
,
精度管理
pp.425-432
発行日 2006年4月15日
Published Date 2006/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100073
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
細胞診を含む病理検査業務の範囲は,手術や生検で患者から採取された臓器・組織・細胞から顕微鏡標本を作製し,病理診断に至る工程のことをさす.病理技師や病理医がかかわる医療事故の報道などからもわかるように,病理検査業務は生命と直結する重大なアクシデントの可能性を常にはらんでいる.その意味からも,臨床現場と同様のリスクマネージメントの考えが必要である.病理部門におけるインシデントおよびアクシデントの起こる過程を辿ると,検体の採取から始まり,検体の受付―標本作製―病理診断―診断結果の返却―標本の保存―標本の貸し出しおよび返却,とその幅は広い.しかし,病理検査の検体は,固形臓器や体液など形状や大きさが多種多様で一元的に必ずしも扱えない.また,直接検体にIDや番号をつけることができないことより,厳格にはそれぞれの工程における作業手順の確認を繰り返し行うことが望ましい.病理技師や病理医が一定の医療水準を確保できるだけの知識と技術を備えることと同時に,各臨床部門や他の職種との連携を深めて病院全体として情報を共有化し,他人事と考えずに医療安全対策を推進する必要がある.また,すべての医療機関で情報を共有化し,エラー事例から学び続けてお互いに注意を喚起するなど,全国レベルでも病理検査危機管理対策を構築することが望まれる.〔臨床検査 50:425-432,2006〕
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.