特集 院内機能の分散化の動き
病院における集中と分散
大道 久
1
1日本大学医学部社会医学講座医療管理学部門
pp.860-864
発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903636
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病院の発展の過程に見る機能の「集中」
医療の成り立ちを振り返ると,「集中と分散」の歴史を見て取ることができる.病を得た者は医の心得のある者を訪れ,医術が施されて医療が成り立ったとされる.病者は居を定めた医者を頼って集まり,病者の世話をする者もまたあい寄って,今で言う医療施設が成立する.病者が居宅で家族の世話を受けるという範囲にとどまっていたであろう時代が長かったことを考えれば,医療を得ることのできる特別の施設が成立したことそのものが,敢えて言うなら医療の「集中」の最初の姿と見ることができる.
時代は一気に下って,わが国で病院が成立しようとする時期,専門医として養成された医師は自ら開業をし,あるいは病院に招聘されて自分の専門分野の医療を展開する.手術などの医師自らが行う医療行為はもちろん,看護についてもどちらかといえば診療の補助であり,医師の専門領域の看護であった.薬剤も検査も同様に医師の専門性に包括され,ここに医師を頂点とする診療科のユニットが成立する.
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