医療従事者のための医療論理学入門
16.終末期医療における倫理的決断(4)—判断能力を有する患者の延命治療に関する判断—自殺の倫理的許容性について
浅井 篤
1
,
大西 基喜
2
,
福井 次矢
3
1京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療倫理学
2京都大学医学部附属病院総合診療部
3京都大学大学院医学研究科臨床疫学
pp.455-457
発行日 2001年5月1日
Published Date 2001/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903284
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前回は,自殺とは何か,治療拒否は自殺にあたるのかについて考察した.そして,自殺を,人が一義的な意図がなんであれ,1)確実に死ぬとわかっている行為を行うこと,2)行わなければ確実に死ぬとわかっている行為を行わないこと,または,3)行わなければ確実に死ぬとわかっている行為を,他者にやらせないこと,と定義するのが最も適切であり,治療拒否と自殺には倫理的差異は認められないと結論した.本稿では,自殺が倫理的に許容される否かを検討し,O氏の治療拒否の倫理的正当性に関する結論を述べる.
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