特集 病院の医療情報発信
医療における広報と広告—今後の医療情報提供に期待すること
瀬川 至朗
1
1毎日新聞科学環境部
pp.582-586
発行日 2001年7月1日
Published Date 2001/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903315
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新聞社の科学記者として,医療の問題を取材してきて,もう20年近くになる.脳死者からの臓器移植や生命科学など最先端分野が多いが,それでも,1990年代半ばには,毎日新聞科学面で「シリーズ大学病院」を掲載し,よい意味でも悪い意味でも,日本の医療の中核にある大学病院という存在を多角的に取材したことがある(このシリーズは現在,新潮文庫の「大学病院ってなんだ」として出版されている).
そんな経験もあり,研究本位,閉鎖性,パターナリズム(父権主義)——などという言葉に象徴されるように,日本の医療が患者本位になっていないことを痛感するようになった.5年前にはワシントン特派員として赴任,丸4年間,米国の現場に触れる機会を得て,その印象をますます強くした.よく言われるように,米国は医師と患者の関係が対等で,医療行為をめぐる訴訟も非常に多い.ただ,その一方で,患者を大切にしなければ病院経営が成り立たないという意識も強,患者に向けた医療情報の発信に努力しているように感じた.米国滞在中は,わが家にも,総合病院から診療科などを案内したダイレクトメールがよく届いていた.
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