特集 減価償却と耐用年数
医療機器の戦略的購入と更新のタイミング
松角 康彦
1
1国家公務員共済組合連合会熊本中央病院
pp.227-228
発行日 2000年3月1日
Published Date 2000/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902943
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戦略的とは
相次ぐ診療報酬の改定の示す方向は,高額医療機器の購入と設置について従来にも増して,というよりも従来とは異なる病院経営理念のもとでの厳しい検討と原価計算に基づく採算性を顧慮する必要に迫られている.ただ単に高次診療機能を有する病院というステータスを誇示するためのものとして,高額先進医療機器を考えるならば,早晩病院全体の足を引っ張るような負担にしかならないことは目に見えており,診療報酬として今後削減の方向にあっても「うま味」のあるものとなる見込みは乏しい.
上に述べた「従来とは異なる病院経営理念」による判断と対策とは,まさにこの難問に答えるものでなければならず,当面の購入希望の医療機器が何故に必要なのか,有効な活用をどのようにして達成するか,機器による受益者数の増加が単なる煩雑に終わって収益性のある繁忙に結びつかないという矛盾に陥らないかを検証しなければならない.経営努力という成果を単にマンパワーの集積としてみる経営理念は,もう古い過去のものととらえる新しい戦略が立てられなければ,石川啄木ならずとも「働けど働けど病院の暮らし楽にならず」の悲哀をみる.そこには従前どおりの朝は早くから夜まで外来,急患に追われ,昼食も自由にとれない労働(コスト)の割に収益(ベネフィット)につながらない公的病院の姿があり,ましてや高額医療機器が最大限に活用されるという環境にはなり難い.
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