特集 病院・医療・社会—21世紀を展望する
21世紀の病院と医療—ビジョンと改革の方向
臨床医学研究の展望
矢崎 義雄
1
1国立国際医療センター病院
pp.29-33
発行日 2000年1月1日
Published Date 2000/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902896
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医学・医療は20世紀に入り,ようやく科学的なアプローチが導入され,飛躍的な進歩を遂げた.それはX線撮影を中心としたX線の医療への応用にはじまり,抗生物質の開発,ホルモン,ビタミンの発見,免疫の仕組みの解明による生体防御の理解,そしてワトソン,クリックのDNA二重らせんモデルの提唱による爆発的な分子生物学,遺伝子学に関する知見の集積といった生命科学としての医学の進歩により,医療は大きな変革を遂げたといえる.
一方,このような医療の進歩に伴って,疾病構造も大きく変化し,人類の脅威であった感染症を中心とした急性疾患の多くが制御されるようになり,人類もその恩恵を十分に浴するところとなった.しかし,疾病は現在の医療では克服が困難な慢性疾患などが,高齢化社会と相まって大きな課題になっている.そして,染色体における遺伝子の構造と機能が解明されるようになると,医療はさらに大きく変貌するものと予測される.
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