特集 医師養成と大学病院像
21世紀の医師養成と大学病院像
黒川 清
1
1東海大学医学部
pp.1106-1110
発行日 1999年12月1日
Published Date 1999/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902867
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20世紀とは
わが国の20世紀を振り返ってみると,20世紀は明治維新以後の「脱亜入欧」を目指した急速な近代化の世紀であった.その中で取り入れられたシステムは,医学部を含めた大学にしろ,政治にしろ,欧米諸国の特徴をそれぞれの形で移入したものであり,大変効率的なシステムを構築したといえる.大学については医学部を含めて講座制を中心とした教授の権限と,また政府のコントロールの極めて強い国立大学を中心にして形成された「縦型」のシステムで,しかも当時は大学病院が医師の教育と研究の唯一の中心であったといえる.
これに加えて江戸時代から続く日本人の精神構造に基づく村社会の形成と,「縦へと流れる」指令系統と,官僚が極めて強いというシステムが,近代化を一定の方向に強く,効果的に進めたことは明らかである.
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