特集 新しい地域保健体制における保健婦活動
21世紀を担う保健婦(士)像
平山 朝子
1
1千葉大学看護学部
pp.550-553
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901738
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保健婦(士)は,保健・福祉の行政サービスを直接的に担う看護専門職である.地域保健法により,この実施責任が市町村に移行し,保健婦(士)の配置の重点は,市町村におかれた.また,市町村では,福祉関係各法の改訂によって保健・福祉行政サービスの拡充が迫られている.したがって,市町村保健婦(士)の活動の形も多彩となり,小規模町村では,保健婦(士)が一つの部署で総合的に対応しているが,規模が大きい自治体では,保健行政部門に加えて福祉施設や福祉行政部門など多様な部署に配置されている.このように,市町村内部においても,保健婦(士)の働く場の様態は,現実的に大きく変わってきている.しかも,一方では住民の生活要求は多様化・個性化し,提供するヘルスケアサービスは,官民双方を含め多様な選択肢で対応する高度なものが求められている.
本稿の課題は,21世紀を担う保健婦(士)像を追究することにある.保健婦(士)というのは,基本的には看護専門職であり,保健・福祉行政サービスの枠組みの中で,その専門機能が国民生活に不可欠な役割をどれだけ果たし得るかということが重要な課題となる.したがって,課題に迫るには,保健福祉行政サービスが21世紀の住民の健康と福祉を支えるために,何をしなくてはならないのかという点と,もう一つは看護専門職というのはいかなる専門性をもって住民の健康と福祉に貢献できるのかという点を明らかにしなくてはならない.
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