レポート
病院ボランティアは病院を活性化する
石垣 靖子
1
1東札幌病院
pp.556-558
発行日 1999年6月1日
Published Date 1999/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902729
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チーム医療を基盤とした医療の実践
東札幌病院は1983年,ホスピスケアの実践とクオリティオブライフ(QOL)の研究を2本の柱として創設された.中心となったのは大学のがん専門内科で,10年以上基礎と臨床を学んできた医師たちである.がん専門医として,生物医学モデルとして扱われているがん医療の限界を知り尽くしていた彼らは,非生物医学モデル,すなわち社会科学の視点からがんをみようと決意し,新しい冒険に出発したのである.社会科学を実践するということは,「自分たちの社会に対して適切な位置を取り,適切な言説を吐けるスタンスとか能力とか決意とかすべて自分で供給するスタイルを作ること1)」である.患者の病巣だけをみるのではなく,社会生活を営む一人の人間としてQOLを重視したアプローチは,チーム医療が原点になることはいうまでもない.
東札幌病院は開院当初から組織の運営管理を,「病院の基本理念,及び医療の場がコミュニティであることを,職員および地域社会に浸透させること,医療を行うことは教育と学習に支えられるものであり,その継続が重要であること」におき実践を重ねてきた.その基本理念を「医療の本質はやさしさにある.この実践が最も良く遂行される形態がターミナルケアであり,ホスピスはその象徴である」と規定した.
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