特集 改革期における事務長像
改革期における病院事務長とは
井手 義雄
1
1医療法人雪ノ聖母会聖マリア病院
pp.948-953
発行日 2002年12月1日
Published Date 2002/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903658
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バブル経済崩壊後のわが国経済の低迷,また少子高齢社会への急激な移行は,戦後わが国が築き上げた社会保障制度自体を大きく揺るがし始めている.また,近年のわが国経済のデフレ化の現象は,医療の世界にも徐々に浸透してきている.
戦後の国民皆保険制度の導入は,わが国の経済成長に伴う社会資本の充実,また栄養状況の改善,さらには医療機関の整備などにより,世界最高水準の平均寿命の達成,また先進国においても最高の保健医療の体制を確立することができた.しかしながら,国民皆保険制度に伴う社会保険診療報酬体系の充実は,わが国の医療提供体制の整備を可能にした反面,個々の医療人の,あるいは医療機関の組織体としての企業体としての育成を排除してきた.また経済成長の拡大に伴う社会保険診療報酬の毎回のアップは,なんらの経営努力も必要とせず,リスクに挑戦する態度すら消滅させてしまったように思われる.
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