レポート
フランスの医療改革の最近の動向と医師の抵抗
木戸 友幸
1
,
奥田 七峰子
1
1パリ・アメリカン病院
pp.834-835
発行日 1997年9月1日
Published Date 1997/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902207
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フランスの医療改革の最近の動向
第二次大戦後長らくの間,わが国では社会医療の見本のようにいわれ続けてきたイギリスや北欧の医療も近年大幅に改革され,国の経済的負担の軽減化にある程度の成功を収めつつある.ところがフランスでは1980年代がミッテランによる社会主義政権であったという理由によりこの医療改革が進まなかった.したがって1995年に政権をとった中道右派のシラク大統領/ジュペ首相のコンビに課せられた最大の国内問題の課題の一つが,ミッテランが生涯手を付けることのなかった医療改革であった.
シラク/ジュペの決断は迅速で,1995年12月にはフランスの国鉄改革案などの様々な脱社会主義的な改革案とともにこの医療改革案も発表され,これらのすべてを含む改革案が巷ではジュペ案(plan Juppe)と呼ばれた.しかしこのジュペ案に対する各種の労働組合からの反対も極めて迅速かつ強力に実行に移された.1995年末に1か月にわたりフランス各地でジュペ案に反対しゼネストが打たれたことはいまだわれわれの記憶に新しい.このとき,医師以外の看護婦など医療職のスト参加はかなりの数であったようであるが,インターンを含めて医師の参加はほとんどみられなかった.
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