癒しの環境
安心できる入院説明
新居 昭紀
1
1社団福祉法人聖隷福祉事業団総合病院聖隷三方原病院
pp.74-75
発行日 1997年1月1日
Published Date 1997/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902014
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初めての入院を迎えて,それがどんな社会的身分の人であろうと,多少の医学的知識や教養のある人であろうと,一切合切身ぐるみ剥がされてまな板の鯉になったような心境になってしまい,これから事態がどう展開するのかわからない恐れと不安で満たされない患者さんは,まずいないのではないでしょうか.
病院が巨大化すればするほど,設備が豪壮,豪華ホテルなみになればなるほど,むしろ患者さんへの圧迫感が増していくように思われます.巨大なホールと迷路のような回廊,どこへ行けばよいのかわからない無数の窓口など,玄関をくぐった途端,患者さん自身の無力感は増し,ますます途方にくれてしまうにちがいありません.ここでつっけんどんで気難しい職員にぶつかってしまうと,患者さんのこの気持ちはそのまま入院生活に引き継がれ,医師や看護婦の一挙手一投足に気を使い,一切苦情をいわず,ひたすら忍従し,退院を待つといったことになりかねません.
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