主張
医療における記録について
O
pp.725
発行日 1996年8月1日
Published Date 1996/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901874
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医薬品に関する情報や入院治療計画を患者に文書で示すと診療報酬が支払われることになった.患者に対する十分な説明を行って医療を実施したことを評価するのであるという.医療の在るべき姿をこのような形で誘導することに違和感もあるが,ここで改めて医療における記録の在り方について考えておきたい.
わが国の医療においては,医の理念や医師の専門的裁量を重視して,医療の内容に関する記録を客観性のある公式的な文書として整備することを,必ずしも十分に行ってこなかった.診療録には,高度に学術的な記載が行われる一方で,単なる備忘録の域を出ないものも少なくない.社会制度として医療を運営する場合にも,患者の人数や年齢,あるいはその割合などの数値を基準とせざるを得ず,一方でレセプト病名のように管理が必ずしも十分でない診断名が用いられている状況がある.本来ならば重症度やADLのような指標が活用されるべきであろう.
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