厚生行政展望
X線100年と原爆50年
厚生行政研究会
pp.796-797
発行日 1995年8月1日
Published Date 1995/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901587
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今年は,レントゲンがX線を発見して100年目にあたる.この100年,人類は貧欲に放射線を利用し,特に,医療への応用にあたっては数多くの命を救ってきたが,残念なことに,X線発見のちょうど50年後,広島,長崎において放射線は数万の生命を奪ってしまった.原爆の場合,爆心から数百mの範囲に散った放射線は生物学的影響が強い中性子線が主体であったが,遠方へ到達した放射線はガンマ線(X線)であり,医療機関で日常的に使用されているものと物理的性質は同じである.今夏は原爆投下50周年ということで,放射線利用の陰の部分が強調されているが,放射線被曝に対する不安が助長されすぎると,インフォームド・コンセントが普及するにつれ医療機関における放射線利用や被爆者医療が適切に行われなくなる虞が生じてくる.インフォームド・コンセントの大前提として,医療提供側は客観的な知識を有さなければならない.
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