特集 特定療養費制度の功罪
特定療養費制度による保険給付の調整とその将来
高木 安雄
1
1社会保障研究所調査部
pp.440-445
発行日 1995年5月1日
Published Date 1995/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901505
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はじめに——平成6年医療保険制度の改革の歴史的な意味について
平成6年(1994年)は,日本の医療保険制度の歴史において大きな転換期として記録されるにちがいない.なぜなら,「保険給付の役割・範囲の見直し」という新しい問題認識にもとづいた改革が進められ,これまでの患者一部負担引き上げなど財政的な理由を主にした改革とはその性質を大きく異にするからである.これらの改革は,わが国の急速な高齢化の進行に対応して,医療保険制度の長期的安定と保険給付の設計と内容の調整を意図したものであり,1961年以降の国民皆保険の歴史において大きな転換を意味するものである.すなわち,良質で適切な医療の確保の観点から,「保険給付の役割・範囲の見直し」が提案され,新たに入院時の食事について1日600円の一部負担が導入され,また,前者と連動して「費用負担の公平化と給付の重点化」の観点から,これまで看護・介護職員が少ない病院で行われていた付添看護を平成7年度末までに廃止することが平成6年度4月の診療報酬改定で決まり,患者の差額負担を解消し,すべて医療保険から給付することになったのである.
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