特集 「病院死」を考える
患者は本当に自宅で死にたいのか、死ねるのか—病院MSWからみた在宅死の可能性と課題
柴田 睦
1
1市立岡崎病院
pp.1103-1106
発行日 1994年12月1日
Published Date 1994/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901392
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ソーシャルワーカーが「死」と出会うとき
当院は西三河地方では数少ない公立の総合病院であり,救命救急センターを併設している544床の病院です.院内では毎日何人かの患者さんの死をみとっている一方では,現代医学を駆使した機械の中で患者さんは生かされています.医療相談室では2人のスタッフで1か月250〜300人の相談を承っています.
私がソーシャルワーカーとして院内で患者さんの死と直接向かい合うことは,ほとんどありません.急性期を越えた患者を抱える家族の問題として,また,親族を失って残された家族の問題として,癌の告知を受けた直後の患者本人の問題として「死」を,残された「生」を共に考えて行く機会は随分あります.しかし援助内容を細分化した統計は取っておりませんのでデータはありません.ソーシャルワーカーの役割の1つは患者さんの意見の代弁だと言われておりますが,死に関する問題だけは,その患者さんの生きてきた歴史の中で作られた人的環境によって決まると思っています.
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