特集 「病院死」を考える
高齢者の終末期医療の問題点
横内 正利
1
1浴風会病院
pp.1087-1091
発行日 1994年12月1日
Published Date 1994/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901388
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はじめに
老人医療のなかで,終末期(以下,末期)医療は大きな位置を占めているが,一方で数多くの難問を抱えている.また,高齢者の末期とは何かという根本的な問題についての認識にもかなりの混乱がみられる.
たとえば,非高齢者の場合癌の末期を想定して議論されることが多いが,癌の末期についての議論が高齢者にも適用されようとしている.確かに,癌は高齢者にも多いが,その議論をそのまま高齢者にも適用することには問題がある.高齢者の末期には,疾患の末期という側面の他に,老化の末期(老衰)という側面が大きい.とくに,老化の進んだ高齢者では,後者の要素が強くなり,そのため,非高齢者の末期とはかなり異なった病像を呈することが多い.そのため,高齢者の末期は,非高齢者以上に複雑な問題をはらんでいる.
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