特集 高齢社会の看取りのサイエンスとアート
高齢者の終末期ケアの現状
今本 千衣子
1
1医療法人社団 今本内科医院
キーワード:
在宅医療
,
プライマリ・ケア
,
death education
Keyword:
在宅医療
,
プライマリ・ケア
,
death education
pp.640-644
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101477
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
明治以降,近代医学がわが国に普及したあとも,医療の中心は患者の自宅であり,患者の多くは往診などによる治療を受け,自宅で死を迎えていた歴史がある.戦後,疾病構造が変化し,医療技術の高度化が進み,1961年には国民皆保険となり,また心疾患・脳血管疾患・悪性新生物といった3大成人病が死因の上位を占め,これらへの対応策として老人医療費無料化が進み,それと同時に病院を増やすような国の政策が進んだ.その結果,現代の日本は世界でもまれにみる超高齢化社会の到来を迎え,老人医療費の高騰が深刻な問題となっている.
現代の高齢者の終末期は,かつての自宅での死から画一的病院死の時代を経て,家族価値観の変化,少子高齢化などによる家族介護力の著しい低下により変化を余儀なくされて,多様化してきているといえよう.今後も増え続ける高齢者がその終末期をどう迎えるかは,今後の重要な医療現場の課題といえるであろう1~3).
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.