勤務医からの発言
医学文献の扱い方
佐々木 春喜
1
Haruki SASAKI
1
1函館中央病院内科
pp.597
発行日 1991年7月1日
Published Date 1991/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900963
- 有料閲覧
- 文献概要
医学部を卒業し内科を専攻する者にとって,目指すのは内科専門医であろう.卒後すぐに,専門にとらわれず内科全般の研修を目的とするためにも,患者のプロトコールを作成し,その症例についてtextbookを読み,更に最近の文献を検討すれば,5年後には内科専門医の試験に合格できるはずである.内科専門医の資格を取ったあとは,それぞれ,リサーチを専攻する人,更に臨床診療を続け専門分野を目指す人などに分かれていく.最近,専門分化による弊害が指摘されているが,実際どのような解決方法があるか具体的な提言はなされていないように思う.
このような弊害の原因として,卒後年数が長くなるのに比例して,医師の一般的医学知識が時代遅れになる(JAMA 255;501)ことが考えられる.糖尿病性網膜症の新生血管に光凝固が有効なことを確実に証明した研究が発表された18か月後に,医者がこの研究を知っているか調査した結果がある.それによると,この研究に関する質問に対して,内科医の46%,開業医の28%しか正解できなかった(JAMA 241:2622).
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.