特集 看護と介護—共存の道
老人保健施設,特別養護老人ホームからみた看護と介護
平井 基陽
1
,
南 溢
2
Motoharu HIRAI
1
,
Mitsuru MINAMI
2
1医療法人鴻池会秋津鴻池病院
2医療法人鴻池会
pp.388-391
発行日 1991年5月1日
Published Date 1991/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900912
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わが国では,寿命の延長による老人人口の増加と出生率の低下によって,老人人口比率は急速に上昇し,それにともなって75歳以上の後期老人人口が増加しつつある.当然のことながら老化を基盤とした疾病や障害などのために日常生活を営む上で援助を必要とする老人(要介護老人)の急激な増加が見込まれ,いかに対処するかが大きな社会問題となっている.
一方,1963年には老人福祉法が制定され,心身の健康障害をもち,常時介護を要する老人を対象とした特別養護老人ホーム(特養ホーム)がスタートした.「介護」という用語が法律にとり入れられ始めたのもこの時であった1).それから20年後の1983年には老人保健法が施行され,それまでの医療法による一般病院とは区別したいわゆる老人病院(特例許可病院)が設けられることになった.さらに1986年の老人保健法の改正に基づき,モデル事業を経て1988年より老人保健施設制度が本格実施され,病院と家庭の中間,さらに医療と福祉の中間施設として老人保健施設(老健施設)がその運営を開始した.老健施設は寝たきり老人などの要介護老人に対して医療サービスと日常サービスを併せて提供する中間施設としてスタートすることになった2).
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