時評
政治変革と医療の土着性
箕輪 良行
1
Yoshiyuki MINOWA
1
1自治医科大学附属大宮医療センター総合診療部
pp.263
発行日 1991年3月1日
Published Date 1991/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900887
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この1〜2年のあいだ,大きな変革の嵐が世界中に吹き荒れている.主として政治体制の崩壊や変更だが,経済体制の変化も生じつつある.このような変革のなか,恐らく人々の生活も影響を受けているはずだが,医療や保健は一体どうなっているのだろうか.
医療の社会化が叫ばれていたかつて,またプライマリ・ケアがキーワードであった80年代においても,社会主義国での保健医療制度やイギリス,北欧における社会主義的な医療システムがわが国に紹介されてきた.医療の無料化,医師の公務員化,予防および公衆衛生活動の重視など,ゆりかごから墓場までといわれたイギリスのNHS(National He-alth Service)に典型的にみられるような特徴が指摘されてきた.
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