特集 病院の国際化
病院の国際化のための卒前・卒後医学教育
植村 研一
1
Kenichi UEMURA
1
1浜松医科大学脳神経外科
pp.224-227
発行日 1991年3月1日
Published Date 1991/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900875
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はじめに
米ソの冷戦の終結とヨーロッパの再編成の動きは,今後ますます国際交流を促進すると思われる.日本は近年ますます経済大国として世界平和への貢献が期待されているが,日本の医療や病院は果たしてこの国際化の波に乗り遅れてはいないだろうか.経済大国の名に相応しく日本の大病院には世界第一級の高額医療機器と最新医療技術が存在し,現にハバロフスクからの重症火傷患児の治療に成功しているが,その一方では,多くの日本人患者が外国に脳死患者からの臓器移植を受けに行っている現状,また,救急医療,プライマリ・ケア,ターミナル・ケアなどから観た日本の医療システム,更には卒前・卒後の医学教育等々は,残念ながら国際的に立ち遅れていると言わざるをえない.
筆者は1959年に千葉大学医学部を卒業し,1年間横須賀米海軍病院でインターンを受け,7年間米国,半年間英国で卒後医学教育を受けて1968年千葉大学医学部に帰ってきたが,その時「欧米先進国と比較して医療の面では日本は発展途上国」という強い印象を受けた.この気持ちは,残念ながら,今も変わっていない.日本の卒前・卒後医学教育の国際化は,これからの日本の医療と病院の在り方を念頭に置いて進めて行かねばならないであろう.
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