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卒後医学教育のあり方
弓削 経一
1
1京都市立病院
pp.1022-1024
発行日 1969年9月10日
Published Date 1969/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202799
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卒後医学教育への関心
卒業後医学教育なるものを私が意識したのは,1958-59年の欧米旅行中であった.この旅行は卒業前(undergraduate)の教育を見る目的であったが,Western Reserve Universityで,いろいろの医学教育の文献を読まされている間に,卒前教育よりは,卒後教育のほうがより緊急な問題であることを悟った.アメリカの整然とした体系に比べて,日本にはなにもまとまった形の卒後教育はなかったからである.日本の医学は,研究を後まわしにしてでも,とにかく教育体系を整えねばならないと考えた.さっそく「卒業後医学教育について」(臨床眼科13:989,昭34),「卒業後医学教育の改善」(医学のあゆみ,34:620,昭35)などの論文を書いた.後者に対しては,古くから,医学教育についていろいろと意見を発表し,医学教育に関心をもつ仲間をつのっておられた緒方富雄氏の追記がついている.当時すでにインターン制についての批判がおこりかけており,識者にはすでに将来の混乱が予見されたものと思われる.
その後たえず卒後医学教育の問題は誌上にのせられたのであるが,改善は少しも行なわれなかった.日本の医学教育がほとんど全く改善されないままにおかれているよい例証として私は,まだ相変らず行なわれているノート講義をあげることができる.
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