病院管理の現場から 医事課窓口から見えるもの
人間関係からみた病院組織
佐藤 俊一
1
Shunichi SATO
1
1東京白十字病院医事課
pp.951
発行日 1990年11月1日
Published Date 1990/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900775
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他者を認められない若者
ある病院の医事課での出来事であった.外来の待ち時間がピークに達した忙しい時に,外来担当のDさんは基本的なミスを犯してしまった.その時のことを,後で係長から,「先程のことはあってはいけない誤りであり,これからは同じ失敗をしないように心がけてほしい」と注意された.それに対してDさんは,「あんな忙しい時にいくら基本的なこととはいえ,ミスをしないで仕事をしろというのが無理であって,仕方のないことです」と答えた.
係長は,Dさんの反応に心の中では,若い人とくにDさんのいつもの態度かと思いながらも,「自分の誤りを他者から指摘され,それを素直に認めることができないと,人と協同して仕事をしていくことができないし,結果的に仕事もいい加減にしていると評価されるよ」と,もう一度自分の伝えたいことを,冷静に気持ちをこめて話してみた.Dさんは上司の言葉にうなずきながらも,まだ心の中はもやもやしていた.
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