特別寄稿
病院組織と人間関係—組織において互いに活かされあう人と人の関係とは
佐藤 俊一
1,2
Shunichi SATO
1,2
1鹿児島経済大学・社会学部社会福祉学科
2前・東京白十字病院医事課
pp.431-435
発行日 1992年5月1日
Published Date 1992/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900095
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はじめに
地域のニーズに対応するために,将来の病院像を描くために,各病院において大いなる模索がなされているのが昨今の現状である.その際に,大きな影響を与えているのが,病院の現場でメンバーがどのように仕事に対して取り組んでいるか,勤労意欲はどうなのかといった組織風土に基づくことである.特に,各部署において,管理者-部下との人間関係,ベテラン-中間層-新人などの人間関係がどのようになっているかで,病院の方向づけをしていく時に,その対応は大きく変わってこよう.
例えば,病院のトップが今回の診療報酬の改定に対応するために,適温・適時給食の実施を決めたとする.栄養科の方も,「もちろん,そうした対応が必要だ」と考えていた.両者の考えが一致していれば,計画を立てて,実行に移せば良いだけなのだが,実際には,事はそう簡単に運ばないのが現実である.院長や事務長と栄養科長が,何のために適温・適時給食を行おうとするのか相互に確認する必要がある.単に,診療報酬のためだけに「明日からやれ」といったものでは,変更への現場の動機づけは弱いものになってしまう.そこでは,自院の患者給食に対する考えの共有が必要である.また,具体的に適時の給食に移行していくために,看護部の協力が必要不可欠となる.そのコーディネートは誰がするのか等の問題も出てくる.
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