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病院における人間関係
今村 栄一
1
1病院管理研修所
pp.206-215
発行日 1957年4月1日
Published Date 1957/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201211
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病院管理が研究され,応用されて来た結果,経営の合理化という面では著しい進歩がみとめられると思う。専門分化が行われ,組織は整理され,運営も秩序立つて来た。しかしその反面,そこに働いている職員の人格個性というものは,いつとはなしにうしろの方に追いやられがちになる。そのためにせつかく良い仕組みにはなつたが,かえつて能率が上らないということにもなりかねない。こうしたことは病院管理に限つた問題ではなく,すでに経営の合理化を卒先して行つている産業方面においては,前から問題とされているものである。
病院というものは,人間性が中心となつた機構である。生命のない製品を作り出すとか販売するとかいうものとは性質が違う。医師,看護婦その他職員の人間性が患者の人間性に触れ合い,そこから医療の成果が生み出されるものである。病院管理を科学的にすることは大切であるが,その根底に横たわる人間性というものをおおいかくすべきではない。
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