特集 増大する看護ニーズの分析と対応
看護ニーズの増大の中で基礎教育が目指すもの
近田 敬子
1
Keiko CIHKATA
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.401-403
発行日 1990年5月1日
Published Date 1990/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900636
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はじめに
1990年代に入って,いよいよ今世紀も最終ラウンドを迎える意識が強くなった.この時代に生きる我々は,核戦争に対する不安をはじめとして,情報化社会の真っただ中にいながら日々驚異を感じて生活している.そして,バイオテクノロジー等の超科学的な技術が身近な日常生活の中に入り込んで来ている.さらに,平均寿命が90歳を越える高齢化社会を目前にして,家族の崩壊がさらに進み,自分の身に置き換えても不安を隠しきれない.
もちろん,不安のみならず多大の恩恵をこうむっており,便利で快適な生活に慣れ親しんでいるのも事実である.ただ余りにも急激な変化に戸惑いを感じている年代の人間なのかも知れないが,要は,それらの社会現象が人間の価値基準をどのように変えるのか,少なくとも我々が従事している看護教育においても,いかなる変革が求められて行くのかが問われているものの,明快な答えが出せない苦しみを味わっているのである.
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