検証・日本医療の論点(最終回)
看護婦の給与と診療報酬は80年代に改善されたか?
二木 立
1
Ryu NIKI
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.323-328
発行日 1990年4月1日
Published Date 1990/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900616
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●はじめに
最近,全国的に看護婦不足が再燃している.それの直接的原因が,医療法第一次改正・地域医療計画により誘発された「駆け込み増床」であることは良く知られている.しかし,その背後に,看護婦の厳しい労働条件と低い給与水準があることを見落としてはならない.看護婦不足を真に解消するためには,単に看護婦養成数を増やすだけでなく,看護婦の労働条件と給与を大幅に改善することが不可欠である.
看護婦・看護職員の労働条件の変化については,日本看護協会1,2)や労働組合(医労連)3)が詳しい調査を行っている.またその就業構造・就業率の変化については優れた研究がみられる4,5)が,看護婦給与の推移の実証的検討は意外に少ない.そこで,小論では,1980年代の看護婦給与と看護関係の診療報酬の変化を,1970年代の変化と比較しつつ,検討する.
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