特集 看護の質に何を期待するか
臨床医の立場から
「診療の補助」と「療養上の世話」—外科医として看護の質に期待するもの
有賀 徹
1
1公立昭和病院救命救急センター救急部
pp.497-499
発行日 1993年6月1日
Published Date 1993/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900377
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はじめに
医療の現場において提供される「医療の質」を論議するあたり,そのことを大きく2つの面でとらえておくことが必要と考える.まず第1に正味の医学的内容がどのようであるか,つまり現在の医学(サイエンスの一分野)の水準からみて充分に満足のいくものが提供されているかであり,もう1つがいわゆる患者の満足度に関する,例えば患者の人権への配慮はどうかとか食事の時間・選択のメニューはどのようであるか等々で,最近しばしば話題になっている面である.
前者は医師を中心とした現場の総合力が問われ,今回のテーマに即して言えば,例えば看護スタッフが急性期において時々刻々と変化する患者の状態を観察し,医師に的確な情報を与え,治療に寄与すること等である.それに比べ,後者は広く病院施設全体の運営方針として言及されることが多く,職員の立ち居振る舞いや言葉使いに患者への心遺いがどれほど反映されているか等という問題も一般的にはこちらに属すると言えよう.
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