特集 心理的安全性がつくる新しい病院組織—イノベーションとリスクマネジメントの両輪を回す
心理的安全性の構築と病院組織変革のための手法
明るい職場づくりの実現を—院長方針を浸透させ,鍵は「改善文化」
麻生 泰
1,2
1株式会社麻生
2麻生セメント株式会社
キーワード:
改善文化
,
改善活動
,
カイゼン
,
病院経営
,
働き方改革
Keyword:
改善文化
,
改善活動
,
カイゼン
,
病院経営
,
働き方改革
pp.875-878
発行日 2022年10月1日
Published Date 2022/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211780
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■はじめに:経営学の手法である改善文化が病院経営にも役立つ
会社経営者であり,麻生 飯塚病院の運営責任者の一人として,私は,労働集約型事業である病院には,組織運営としての経営学の活用が効果的であり,継続的な改善活動から生み出される「改善文化」(カイゼン)は重要な経営手法だと思っている.病院運営かくあるべしという理論体系づくりには期待しており,それは非常にやりがいのある学問分野であると思う.現在は医療経営学という分野で先行して普及しており,大学では九州大学大学院の「医療経営・管理学講座」,慶應義塾大学大学院「医療マネジメント学」,広島国際大学「医療経営学部」他,多数あろう.
病院経営は一つの生きている組織の運営であり,管理手法が重要である.組織の長の役割が何であり,いかに院内を盛り上げるのか.多くの病院スタッフが経営に参加してくる手法はかくあるべきという病院経営の理論がしっかりと確立されると,多くの医療スタッフがチームとして動き始め,医療の質と生産性が上がり,明るい職場づくりにつながっていく.
日本の生産・製造現場で今までに大きな成果を出し続けている「改善文化」を取り入れていない病院がまだ多いことと思う.トップから方針が明確に出され,改善活動が始まると,大きな赤字を出している病院もかなり無駄がなくなり,医療の質が向上し,リスクが減り,働き方改革にもつながる流れが生まれると確信している.飯塚病院での改善実績が,病院経営学向上のヒントになればと思い,病院現場の変化,成長,改革の実績を発信する.読者の役に立つならば嬉しい.
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