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■はじめに
2020年は新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の拡大を受けて実施が見送られた医療福祉建築賞[一般社団法人 日本医療福祉建築協会(以下,当協会)主催]の選考だが,2021年は記念すべき賞創設30回目として実施された.2020年の募集中止により,応募対象期間を1年延長して2016〜2020年度に竣工した作品としたところ,計31作品(病院16,診療所3,保健・福祉施設等12)の応募があった.
一次選考では1作品ずつレビューを行った後,記名投票により現地審査対象候補10作品程度を目処に選出した.票を獲得した作品は17作品だった.さらに討議を行い,過半の4票以上を獲得した10作品を現地視察対象として決定した.二次選考では現地審査の結果を基に審議した.本賞および準賞の定義を確認し,評価方法について議論した後,視察委員が作成した報告を基に討議した.全作品討議の後,該当施設の建築水準や運営状況などを総合的に判断し,受賞にふさわしいと考えられる作品について,投票数の制限を設けず建築賞・準賞別に投票した.その結果,建築賞候補には6作品,準賞候補には7作品が挙げられた.以上を賞候補としてあらためて個別に審議を行った.最終的には,選考委員全員一致の下,以下に示す4作品を医療福祉建築賞として決定した.準賞は該当なしとなった.
なお本選考委員会は,前回と同様の選考委員:大野秀敏(アプルデザインワークショップ),川﨑つま子(東京医科歯科大学医学部附属病院),小林健一(国立保健医療科学院),渋谷明隆(北里大学),角 晴輝(竹中工務店),山崎 敏(トシ・ヤマサキまちづくり総合研究所)と筆者の石井 敏(東北工業大学)の7人で務めた.本選考委員会では,今日的で,地域的で,社会的な課題への意識と取り組み,建築と運営的な解決法とその成果から,将来に向けての医療福祉施設の発展,さらには質の向上につながる芽を持つ作品,新しい型の創出や施設のあり方に一石を投じるような明確な姿勢や理念を持った施設を評価した.以下に受賞作品を紹介する.
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