連載 アーキテクチャー×マネジメント・11
医療福祉建築賞2014
井上 由起子
1
1日本社会事業大学専門職大学院
pp.788-793
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209953
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■はじめに:医療福祉建築賞とは
医療福祉建築賞は一般社団法人日本医療福祉建築協会が主催する顕彰事業で,1991年に創設され今年で25回目を迎える.近年竣工した医療福祉施設を対象に広くエントリーを募り,厳正な審査のうえ,優秀と認められたもの数点に賞を授与する.これまでに129の施設が受賞している1).
優れた医療福祉建築とは何か.本賞ではデザインとして質が高いことに加えて,利用者ならびに職員にとって快適で使い勝手がよいことを条件としている.企画・設計・運営いずれにおいても優れ,中身と器が調和していることに重きを置いていると考えていただければよい.書類審査を通過すると,選考委員が現地に赴き,建物整備にどれだけ主体的に関与されたか,医療や福祉の向上につながる運営や実践を実現できているかなどをヒアリングする.このヒアリングを効果的に行うため,選考委員の専門分野は多岐にわたる.2013年度と2014年度は福祉分野を専門とする筆者が委員長を務めたこともあり,経験豊富な病院関係者を委員に迎えた.委員は竹宮健司(都立大学),竹村和晃(戸田建設),寺崎仁(横浜市立大学附属市民総合医療センター),二井清治(二井清治建築研究所),松岡博(横浜南共済病院),横井郁子(東邦大学)と筆者の7名である(肩書はいずれも当時).
2014年度は32点の応募があり,7点が現地審査に進んだ.審議の結果,神戸市立医療センター中央市民病院,至誠大地の家(児童養護施設),コレクティブハウス アクラスタウン(住宅型有料老人ホーム)が建築賞を,中東遠総合医療センターが準賞を受賞した.以下,病院の2作品を中心に概要を記す.
Copyright © 2015, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.